INTERVIEW

動き始めた眠れる巨人

榎本浩之 国立極地研究所副所長/国際北極環境研究センター
IPCC海洋・雪氷圏特別報告書 第1章主執筆者

甲斐沼: 先生は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の海洋・雪氷圏特別報告書で第1章の執筆を担当されたと伺いましたが、この報告書で特に伝えたかったことを教えて頂けませんか?

榎本: 雪氷圏や海洋の変動がすでに進んでいること、今後の大きな変化が予想されること、そして自然科学と人文・社会科学が合わさって示されているメッセージです。
私は自然科学が専門で、IPCCでいうと、第一作業部会(WGI、自然科学)の研究成果については良く知っていましたが、第二作業部会(WGII、影響、適応、脆弱性)、第三作業部会(WGIII、緩和)については、詳しくは知りませんでした。今回の報告書では、各章にWGI、 WGII、 WGIIIの研究者が入っており、一から内容の検討を行っていきました。苦労もありましたが、いろいろ教えてもらうことも多かったです。

 

甲斐沼: 私は逆に、WGIIIについては良く知っており、WGIIは国立環境研究所で一緒に仕事をしている方々がいらっしゃるのである程度分かっているつもりですが、WGIのことはほとんど知らないという状況です。今回この報告書を拝見させて頂いて、非常に重要な自然科学の結果が書かれており、大変勉強になりました。

榎本: 自然科学と人文・社会科学との間で、理解し合える部分も多くありましたが、この二つの間の壁を痛感することもありました。完全には交わらなくて、まだ途中のプロセスの部分もありますが、一定の成果を上げています。
私は長年、南極や北極観測をしてきており、2016年からは北極圏の自然変化とそこに住む人や社会を視野に入れた人文・社会科学の研究者も入ったチームを組んで活動しています。私にはこのような研究交流の経験があったので、今回の報告書でも自然科学と人文・社会科学とが一緒に仕事をすることに関して、ある程度準備がありました。北極圏プロジェクトを例にとれば、北極圏に住む先住民について、また、北極圏での日本の産業について、人文・社会科学からのアプローチも行っています。ある意味、IPCCを凝縮したようなものです。

 

甲斐沼: 日本の産業と関わっているとは、どのようなことなのでしょうか?

榎本: 航路、水産業、資源開発などです。
また、報告書に関して言えば、今回はほとんど、自然科学の海洋と雪氷圏、高山において、人文・社会科学の視点から何が言えるかがかなり入ったように思います。自然科学と人文・社会科学との両方の視点から温暖化問題を捉えていくことが重要だと認識しました。

 

甲斐沼: 自然科学だけでなく、人文・社会科学の視点からも捉えていくことが重要ということでしょうか?

榎本: 海洋・雪氷圏特別報告書が対象としている地域について、例えば、海洋は非常に広い世界です。雪氷圏にはヒマラヤやアンデスなどが含まれます。南極・北極も、普段の生活の地域から離れています。海も日本近海だと身近な話題ですが、地球全体の海がどうなっているのか、という話になると、かなり普段の意識から遠いと思います。
私はそれら離れた地域で起きていることとの関わりを多くの人たちに身近な問題として知ってもらいたいと思います。南極・北極も、ヒマラヤもアンデスも地球の一部です。こうした思いを、報告書を書きながらひしひしと感じていました。
一方、報告書では時間スケールも延ばして2100年まで、さらに一部2300年までを対象として表示しています。普段の生活で話題にするのは、先週の天気がどうであった、また、今年の夏は暑かった、などの時間範囲が中心です。他方、10年先はどうなっているのか、まして、2030年や、2050年や、2100年がどうなっているのかについては、もうあまり自分とは関係ないと思われているかもしれませんね。

 

甲斐沼: そうですね。自分とは関係ないと言われる人もかなりいらっしゃいます。

榎本: 時間的に離れたところまでどこまで気持ちを共有できるか、ということで、この報告書では頑張って2300年まで時間を延ばしました。今、グレタ・トゥーンベリさんの活動をきっかけに、人間が温室効果ガスを出しているということが、将来の気候変動に関係してくると、世界の若者が立ち上がっています。温暖化は自分たちの子どもたち、その子どもたち、またその子どもたち…の世代に、時間を超えて影響します。今から対策をしないと間に合わないということを、この報告書では示そうとしています。
個人的にも、南極や北極の研究をしていると、「どこか遠い世界のこと」とよく言われるのですが、「いや、身近な世界です。そこで暮らしている人と共通の世界として考える課題です」と答えています。
海洋・雪氷圏特別報告書はかなり厚みがあるので、多くの方に報告書のメッセージを伝えることが、なかなか難しいところもあるのですが、今日のような機会を通して知って頂ければよいと思っています。「時間と地域を超えて、身近なものとして皆さん一緒に考えましょう」と伝えるのにこれが良い機会になればと思います。また、自然科学と人文・社会科学とを、普段はそれほど一緒に考える機会があまりないので、つないでいきたいと考えています。

 

甲斐沼: ありがとうございます。

榎本: 報告書は第1章から第6章で構成されています。第1章は構成と背景、第2章は高山地域、第3章は極域、第4章は海面水位上昇並びに低海抜の島嶼、沿岸域及びコミュニティへの影響、第5章は海洋、海洋生態系及び依存するコミュニティの変化、そして第6章は極端現象、急激な変化及びリスク管理について記述されています。
全体に共通なものはクロス・チャプター・ボックスとしてまとめられています。どの章もお互いに関連していますが、その中でも「リスク」を、人文・社会科学と自然科学を通した共通テーマとして取り扱いました。
また、クロス・チャプター・ボックス2で、紙面を割いて共通の概念を説明しています。また、「コミュニティ」という言葉も随所に出てきます。IPCCは政府間パネルなので、政策決定者へ情報を提供するという役割がありますが、政府のみならずコミュニティでもいろいろやっていきましょうということです。community-based(地域に根差した)という言葉があります。まだ完全に浸透していないところもあるのですが、community-basedとは何か、また実例などが紹介されています。北極圏でもcommunity-based managementや、community-based experimentなどが重要です。私も極地研の研究者向けに、この報告書の説明をしました。その際、是非自分の専門・関心以外のところも読むように、と勧めています。
報告書はそれぞれの章に分かれているため、自分の専門のところだけをダウンロードして、そこだけ読みにいかれる方もいらっしゃいますが、自分の専門から離れたところにも、読むべきことが書かれているということを伝えています。これが、海洋・雪氷圏という地域や現象を超えて考えるという、もう一つ強調したいところです。
報告書の特徴として、このようにIPCCのWGI、WGII、WGIIIに跨って執筆されたこと、全編を通じて「リスク」や「コミュニティ」が随所に書かれていることが挙げられます。自然科学と人文・社会科学の両方の視点が、地球温暖化の理解と解決には不可欠です。

 

甲斐沼: 人間が出した温室効果ガスによる温室効果で地球に蓄えられた熱エネルギーの90%以上が海洋に蓄えられているとの記述があります。地上の気温上昇も問題となっていますが、これが地球で増えた熱の10%以下の影響で、残りの90%以上が海洋に蓄えられているとすれば、海洋への影響が非常に大きいのではないかと危惧しています。近年の台風の大型化もこの海洋に蓄えられた熱エネルギーが影響しているのでしょうか? 海洋に蓄えられた熱を取り除くことも難しいと思われるので、今後も、大型台風が来るのではないかと心配です。

榎本: 海に蓄積されたエネルギーの放出は要注意です。9月25日にこの報告書が出されたすぐ後に、台風19号が来て、温暖化の影響や海洋の環境変化との関係が話題になりました。
台風への影響については、研究者の間でもまだ考えがまとまっていません。背景としては、台風が発生しやすい高温の海水温域が日本のそばまで来ていて、普段よりも海水温が高くなっています。台風が発生しやすい高温の海水温域という点では、影響していると言うことができます。一つ一つの事例については、他の要素も関わってきており、これはそうだ、これは違うということはできないのですが、強力な台風が発生しやすい時代に入ってきていると言うことができます。

 

甲斐沼: 去年も西日本で大型の台風の影響があり、今年も多くの被害が東日本を中心に発生しました。これが毎年続くようであれば、とても心配です。

榎本: このような大型台風が、たまに起きるという時代ではなく、常に起こり得るという時代に入ってきていると言えます。背景は、海の影響です。

 

甲斐沼: 台風19号について言えば、ニュースでは最初、「10年に1回の台風」という報道をしていましたが、その後「今までにない台風」という報道に変わりました。降水量や最大風速が観測史上初を記録しました。来年も「観測史上初の」台風がやって来る可能性はあるのでしょうか?

榎本: あると思います。なじみの薄い言葉かと思いますが、報告書の海面上昇のところで、historical centennial events、短縮形でHCEという言葉が使われています。centennial(百年)ということで、歴史上、100年に1回しか起こらなかった事象が、2100年には多くの地域で、1年に1回起こるようになるという記述があります。低地に位置している巨大都市や小島嶼国の多くで、2050年までに100年に1回起こるような事象が、毎年起こるようになるという予想ですが、このようなまれにしか起きない現象が日常的に起きることは要注意です。
今回の台風19号について、通常台風が発生する海水温は26℃から27℃の間なのですが、日本近海は10月になっても26℃から27℃の間でした。従来であれば、発生した台風は北上するに従って勢力が衰えるはずなのですが、海水温が高いので、エネルギーを持ったまま北上して、巨大な台風となってしまいました。
私は、背景には温暖化の影響があると考えています。報告書では様々なところで、IPCCなりの表現で、確信度(confidence level)を使った表現がされています。「確信度が高い」や、「確信度が非常に高い」などのように使われています。レベルはいろいろありますが、確信度は高くなってきています。これまでも温暖化と台風の関係について言われているかもしれませんが、証拠と観測が揃って、よりよく見えるようになった、ということが言えます。

 

甲斐沼: IPCCの場合は確信度(confidence level)で 科学的に正確に表現することが求められます。また、可能性(likelihood)も使われます。「起こる可能性が高い」や、「ほぼ確実」といった表現が使われます。例えば「可能性が非常に高い」は、90~100%の確率ということです。たとえ可能性が非常に高くても、確率で表現していると、まだそれほど切迫感がないように受け止める方がいらっしゃるように思います。「90%以上起きる可能性がある」といっても、「まだ10%は起きない可能性がある」ということで、あまり真剣に受け入れられないように思いますが、どうでしょうか?

榎本: 避難勧告と似ていて、「避難勧告は出ているが、まあ大丈夫だろう」と思われがちです。今回の台風19号の一つの教訓として、「災害が発生する可能性がより高まったので、避難したほうがよい」という避難勧告に対し、すぐに反応することの重要性を経験したことがあると思います。
IPCCも様々な形で警鐘を鳴らしています。しかし、まだ遠い先の話だと思われたり、また、「まあ、起きても何とかなるさ」と思われたりするふしもありますが、こうした警鐘に反応することが求められていると言えます。

 

甲斐沼: 温暖化について懐疑的な方もおられますが、温度が高くなっていることは観測事実としてあるのではないでしょうか?

榎本: グローバルな変化とローカルな変化が組み合わさって作用してくるので、不確かな部分もあるかも知れませんが、気温や海水温は実際に高くなっています。私も東京に住んで9年になるのですが、なぜこんなに気温が高いのだろうと思って、温度計を持って街の中を車で走ったことがあります。40℃近くまで上がっているのは異常ですね。これだけではローカルな話かもしれませんが、ヨーロッパなど世界各地で高温が起きており、グローバルな変化が進行しています。

 

甲斐沼: 埼玉県の熊谷市など、40℃を超したところもあります。10月の終わりなのに、台風が来るというのも異常に思うのですが。

榎本: 極地研からは富士山が良く見えるのですが、昨日(10月24日)、今年初めて雪化粧を見ました。10月23日が初冠雪で、昨年より26日遅れとのことでした。これはローカルというより、より大きなスケールの変化の反映かと思います。
「海洋に蓄えられた熱の影響で台風が強力化しているのか」という質問ですが、背景としては温暖化の影響で、証拠が揃ってきたと言えます。報告書が出た時の最初の記者発表でも言及されましたが、「見えるようになった」ということが書かれています。いろいろな危険性が書かれていて、その中に、より目の前に見えるような形で顕れ始めてきたという表現で書かれています。南極などもそうなのですが、前から言われていたことであったにもかかわらず、証拠が足りなかったのが、証拠が揃ってきて、予想の中に組み込まれたということも言えます。

 

甲斐沼: 南極の氷の不安定性についてはどうでしょうか? 前から言われていましたが、なかなか確たる証拠がなかったと聞いています。

榎本: 1980年代に、西南極の氷の不安定性についての出版物もあり、話題にはなっていました。今までは、理論上はあり得るが、過去においても将来にもないだろうという認識が多かったかと思います。また、モデル上で可能性を示すにとどまるのではとも言われていました。それが最近になって現実的になってきています。証拠も集まってきていて、予測に入れて検討されています。大きな要素になってきたという状況です。

 

甲斐沼: 海の中に入った熱はもう取り出せないと思うのですが、取り出せないとすれば、影響がずっと続くのではないでしょうか?

榎本: 影響は長く続くと思います。一方で、その復元は可能という話題もあります。例えば、北極と南極の海氷は両方とも減っています。大切なのは、その現象が、可逆的(reversible)か不可逆的(irreversible)かということです。また、可逆的であってもヒステリシス(hysteresis:履歴現象)となるという考えもあります。磁石を使って説明すると、磁場を与えると磁石になり易い物体は磁化しますが、その後磁場を取り除いても、元の状態には戻らず、ある程度の磁場の影響が残ります。元に戻すには、逆の大きな磁場を与える必要があります。戻すのに大きな力がいるということです。ある形に向かって行く時と、戻ってくる時で別ルートを通って戻ってくるという考えもあります。海水温に影響していると思われている海氷の分布でいうと、北半球は、今後、温度を下げることができたら、来た道と同じ道を通ってまっすぐ戻ってくるという考えがあります。温度が2℃上がれば海洋が何%減り、2℃下げれば海洋が何%増える、といったように、同じだけの海氷の質量が行ったり来たりして、来た道と同じだけ戻っていきます。

 

甲斐沼: 2℃下げなければいけないのですね? それも難しいですね。

榎本: 温度の変化と氷の変化が比例するということです。努力すれば、努力しただけ戻ってきます。
他方、南半球の氷は、元に戻そうと思っても戻らないという予測があります。相当に頑張れば戻ってきますが、かなり大きな回り道をして戻ってきます。上がった分を下げたら元に戻るかというとそうではありません。但し、大きな時間をかければ戻ってくると言えます。

 

甲斐沼: 大きな時間とは、何世紀というスケールでしょうか? 100年や200年といったスケールでしょうか?

榎本: 海氷の場合は数十年というスケールもあります。陸上の氷が海に出てしまう場合は、数100年など、もっと多くの時間がかかります。
また、元に戻ったように見えるところと、根本的に元に戻るのが難しいところがあります。これもモデル計算なので、本当に起きるかどうかは、まだ証拠不足です。元に戻すことはできると思いますが、その努力が大変なものになります。

 

甲斐沼: 元に戻すには努力が大変なのですね。

榎本: 1.5℃上がったので、では1.5℃下げたらすぐに同じ状態に戻るかと言えば、そうではありません。別の変化経路で時間をかけて戻ってくる可能性があります。まず1.5℃に抑えること自体が挑戦ですが。

 

甲斐沼: 影響ですが、海洋の熱の影響で台風の強度が大きくなる、即ち、暴風雨が強くなるという現象が起こる可能性があるとのことですが、熱の影響以外でどのようなことがあるのでしょうか? 海洋酸性化と酸素がなくなることの影響があると書かれていますが、どうでしょうか?

榎本: 酸性化については、北極海でかなり話題になっています。酸性化のためにカルシウムの殻ができなくなるという影響があり、それが生態系の食物連鎖に影響します。カルシウムで殻を作っているプランクトンが少なくなって、それを食べる魚に影響が出て、人間の食料にも影響します。北極ではすでに報告されています。また、南の海ではサンゴ礁への影響も大きいです。

 

甲斐沼: 酸素が無くなるというメカニズムが良くわからないのですが、説明して頂けませんか?

榎本: 今回の海洋・雪氷圏報告書では貧酸素についての言及も慎重に行われています。

 

甲斐沼: 陸上の場合は、二酸化炭素濃度が上がっているので、酸素濃度は下がっています。酸素濃度は下がっていますが、人間生活に影響が出るほど下がっている訳ではありません。海の場合は、上層の酸素を下層に運ぶ必要があり、その循環が止まると下層での酸素の供給がなくなるということですが、どうなのでしょうか? 琵琶湖では、今年観測史上初めて、全層循環が観測されなかったとのことですが、温暖化と関係があるのでしょうか?

榎本: 仕組みは琵琶湖も海洋も一緒で、循環が衰えてしまうと、上層と下層とが混ざらなくなります。酸素があるのは表面だけになりますが、上からは酸素が降りていかず、他方下から上がってくるはずの栄養塩が上がってこない。これにより生態系がダメージを受けます。
これには太平洋の温暖化と、海水温上昇と、海洋熱波(marine heatwave)が影響しています。表面に暖かい水があるせいで、安定した成層になっています。暖かい、軽い水が表面を覆っていて動かない。下に降りて行かない。下からも上がってこない。それが海洋循環に影響していて、貧酸素化を起こします。これが今回報告書に取り上げられています。
政策決定者向け要約(SPM)でも、貧酸素化が、海水温が上がっていること、海水のpHが下がっていること(酸性化)と一緒に、主な影響の一つとして挙げられています。

 

 

甲斐沼: これまで、海水温上昇や、酸性化の話はよく聞いていたのですが、海洋熱波について、もう少し教えていただけますか?

榎本: 海洋熱波は、IPCC第5次評価報告書(AR5)から新たに付け加わってきた話題です。海洋熱波については、海洋研究者にさえ、まだ完全に普及していると言えませんし、用語は知られていても定義が異なっていたりします。海洋表面の温度の現象についてもそれほど知られているわけではなく、ましてや一般の人には用語すら普及していないと思います。「夏になったら熱波での熱中症に注意とよく言われますが、それと海洋熱波とはどう違うのですか」という質問を受けたりします。

 

甲斐沼: 確かに、私もそのレベルです。

榎本: 「陸上の熱波や寒波などとはどう違うのか」という質問をよく受けます。気温に関しては熱波と言います。海洋熱波というのは新しい用語で、検索しても、論文は出てきますが、用語の定義について詳しいものは少ないです。報告書に掲載されているIPCCの用語集(glossary)の中にも、2行ほど簡単に書いてあるだけです。私もこの1カ月の間に複数の方から、「海洋熱波とは何ですか」という質問を受けました。
大気中で4~5日またはそれ以上にわたって高温が続くのが熱波ですが、海でも同じようなことが起きます。海洋熱波とは、「統計的に、その場所にとって異常な温度。何℃超えたら熱波というのではなくて、その場所ごとに、普段の平年値の90%の範囲から超えるような異常な水温がある程度長く(2~3日)続いた時のこと」と説明されています。新しい定義と新しい用語を決めて、世界中を見直してみたら、結構起きているということがわかりました。また、今後頻繁に起きる可能性があると言われていますが、今回どの地域が危ないかが分かりました。RCP8.5(このままの温室効果ガス排出量が続き、2100年に2.6~4.8℃気温が上昇するシナリオ)と、RCP2.6(2℃以下に抑えるシナリオ)の両者を比べている部分があります。対策したらこうですよ、しなければこうですよ、という違いが書かれています。
地図ではこのように表されています。

 

 

甲斐沼: 珊瑚礁の白化もこの海洋熱波の影響なのでしょうか。それとも別のことが原因なのでしょうか。

榎本: 同じ第6章にサンゴ礁の白化に関する図があります。酸性化とも関係があると思います。

ところで、海洋熱波でサケが取れなくなったとか、普段来るはずの魚が来なくなったという深刻な被害が各地で報告されています。大気の現象や海水温の現象について、今までたくさんの報告が書かれてきました。今関心は、それによって生物がどうなるかに向いています。アラスカでは、去年・今年と、サケが全然取れなくなって、危険状態だという報道がされていました。タスマニアやオーストラリアの海岸線でも、海洋熱波による生態系への影響が観測されています。物理的現象から、生態系への影響に関心が移ってきています。

 

甲斐沼: 以前から問題になっていますが、海面上昇についてはどうでしょうか?

榎本: 今回の報告書の中でまず注目されたのが、1.1mという数字であったと思います。1.1mというのは、2100年までの海面上昇予測の範囲の最大値ですが、今までの予測より10cm以上大きくなっています。
「なぜ予測が急に大きくなったのか」と聞かれました。グリーンランド氷床と山岳氷河の縮小は前から言われており、それが加速しています。さらに大きな要因として、南極氷床が融けるかもしれないと言われています。グリーンランドでも言われていますが、温度が上がって氷が水になる、つまり融けることと、割れて流れ出すというダイナミックスと、その組み合わせとがあります。
南極は十分寒いので融けないだろうと言われていました。ほとんどの氷床の消失は氷が末端で割れて起きてくるのですが、それほど温度も上がっていないから、急激な変化はないと思われていたのです。しかし実は、海と接している底面からの影響が顕著になってきています。それが氷床の不安定さを招いています。底面が融けて薄くなると、海に接しているところでは浮力が勝って浮かび上がるので、下に隙間ができて、さらに不安定になります。つまり、ドミノ倒しのように、融ける、薄くなる、不安定になる、さらに不安定になる、という連鎖が起きるのではないかというアイデアが出てきました。それが、アイデアだけでなく、実際に起きている証拠が集まってきています。それがmarine ice sheet instability(MISI)です。海に接している氷床(ice sheet)の不安定理論です。今回これがかなり憂慮され、真剣に考えなければならなくなっています。
Instabilityという不安定性にスイッチが入ってしまうと、急速に氷がなくなります。これは、おそらく2100年ぐらいまで影響がある可能性があります。他方、その先もどうか、と問われるとまだわかりません。

 

甲斐沼: IPCC第3次評価報告書のときに、南極は海面上昇に影響するのではなく、逆の作用があると言われていました。

榎本: 南極氷床は当面は増加する積雪により質量も増加して海面上昇に対してマイナスに働く。長期的に見れば南極大陸上の雪も融け出すので、プラスに働くということだったかと思います。

 

甲斐沼: 第4次評価報告書では、逆に影響すると予想が変化しました。第3次評価報告書の時は、南極大陸に降る雪が増加して積もり、また、大陸の上なので海面上昇にはつながらないのではと言われていました。実際には、積もった雪の下の方が融け出して、不安定になって、南極の氷床が流れ出しているということでしょうか?

榎本: 第3次評価報告書の時は、南極はまだまだ十分冷たいので、降ってくる雪を蓄えていて融けることはない。貯めていく一方だと言われていました。ただ、将来すごく温暖化して、雪が融けるような事態が来たら、降ってきた雪が融けて流されるということもあり得るとも言われていました。

 

甲斐沼: 「将来」の時代がもう来たのでしょうか?

榎本: 以前は氷床表面が融解して流出するという将来を想定していたのですが、表面が流れ出す以外にも、底面が融ける、薄くなる、不安定となる、(変化が)見えてくるという仕組みについて、実際に証拠が集まってきて、IPCCの報告書でも記述されるようになったということです。
MISIが働いて氷床の変化が予想されているのは、主に西南極です。さらに東南極の一部でも同様の危惧があります。日本の昭和基地がある東南極の地域は、実は雪が積もっている方が多いです。日本の基地周辺のデータだけを見ていると雪は増えているのですが、やはり日本の観測隊が活動する東南極の氷河域を含め、南極全体で見ると氷床質量が減っています。
氷河の増減に関して言えば、プラス(増加)のところもあるのですが、マイナス(減少)の方が大きくなってきています。昔はプラスだと言われていました。また、マイナスがあるかもしれないけれど、やっと打ち消すぐらいという時代もありました。新しい知見では、打ち消すどころか、全体で言うと減ってきているというもので、「減っている」という理解が結構顕著になってきました。

 

甲斐沼: 南極には西南極と東南極があるのですか?

榎本: 経度0の線で切って、一方を西南極、もう一方を東南極と言います。南極には、南北はありませんが、東西はあります。西南極側にある南極半島でよく、棚氷が割れて流れ出している映像が報道されています。ここも割合でみると不安定な地域です。棚氷はもともと浮いているので、融けても海面水準には影響ありません。ただ、浮いている部分の後ろに山から下りてくる氷河があり、そこの氷の流出増加につながることは危惧されます。
西南極の氷の下の基盤は、広域が海面下です。ということは、氷が薄くなり浮かび始めると、氷の下に海水が侵入し、融解が起き、さらに浮力により氷が流動、崩壊しやすくなり不安定になります。ずっと内陸でも基盤が海面下なので変化が止まりません。東南極の方はほとんどの基盤が水面上の地面です。氷河が後退した地域に地表面が出てきて、海とのコンタクトはなくなります。東南極でもトッテン氷河域は基盤が海底下になっており、西南極と同様の条件になっていて、減少の加速が心配されています。
グリーンランド氷床は中間的で、現在の末端域は基盤が水面下のところがあり、海洋の影響が及びます。ここに南極と同じプロセスが発生すると氷床の減少が加速します。グリーンランドの表面には融けているところもあります。また末端が割れて崩壊しているところもあり、二つの要素が働いています。グリーンランドでこの数年間起きていることが、南極でも起こり始めています。
変化のメカニズムとしては共通で、どの時代にどれが起きるかは、グリーンランドの変化が先行しています。

 

甲斐沼: グリーンランドが先行しているということは、北極の方が気温の上昇が大きいということと関係があるのでしょうか?

榎本: そうですね。北極の気温は全球平均の2~3倍で上がっています。その影響があります。早い温暖化の原因は、アイスアルベド・フィードバック(ice-albedo feedback)というメカニズムです。雪氷は太陽光を反射するので、反射している限り温まらない。これが、水面や地面が出てくると、地球の表面の一番反射率の高いものから低いものに変わるので、どんどん光を吸収し始め、吸収すると水温が上がって、氷をさらに融かす、というサイクルが始まってしまいます。それが北極で起きており、雪氷と反射率が関わったプロセスによって早く温暖化してしまう、と言われています。雪が降っている期間が短くなって、海氷もどんどん減って、海が顕れ始めます。それが、今北極が温暖化している大きな要因です。基本的には、アルベド・フィードバックが効いていると言えます。この温暖化がグリーンランド氷床に変化を起こしています。
南極は規模が大きく、なかなか動き出さなかったので、「眠れる巨人」と言われていました。

 

甲斐沼: 逆に、動き出すと大きいということですね。

榎本: 北極と南極はよく比較されます。氷床、海氷、そして温暖化の話などについてです。
北極の氷が減っているとずっと言ってきたのですが、2050年にはゼロになる、といった予想も出ています。一方で南極はというと、質量もそうですが、海氷面積も右上がりで増えているとみていました。
北極では、海氷も減っており、氷床も融けているのですが、南極の方は、氷床が増えており、海氷も増えています。これによって「本当は温暖化していないのではないか」、「南半球は温暖化していないのではないか」、「温暖化の影響は出ていないのではないか」などと言われてきました。
実は、南極の海氷増加は、2015~2016年あたりをピークに、その後急激に減少に転じています。また、2016、2017、2018年の3年の間に過去最低記録を出してしまいました。まだ3年しかデータがないので、この報告書の中では、短期の揺らぎなのか、気候変動の影響なのか、人為起源の温暖化によるものなのか、まだ分からないとしていますが、現象は注意して見ていく必要があります。
また、南極の海氷が増加から減少に転じた途端、この3年間のうちに、北極で30年以上かけて減ってきた面積よりも大きな面積が減ってしまったという報告があります。南極氷床と南極の海氷は、変化し始めた途端に、一気にすごく大きな影響が出てきています。
南極氷床に関して、東南極の日本の昭和基地がある辺りでは雪が降っています。西南極のうち、今話題になっている場所でも雪がたくさん降っているので、表面だけ見ていると、どんどん雪が積もっています。ですが、それよりも大量の面積が底面で減っています。表面だけ見ていると気が付かないのですが、底面まで入れて、全層の質量では減っていることが分かってきました。表面だけではなく、底面も考えていく必要があります。

 

甲斐沼: 永久凍土の融解によるメタンの放出や、氷床・棚氷の融解によるアルベドの変化などで、温暖化は加速すると言われています。どの程度のリスクがあるのでしょうか?

榎本: 永久凍土の融解についてはよく聞かれます。融解ということと、凍土の温度の上昇(permafrost temperature increase)ということを考える必要があります。永久凍土の温度が上がっています。まだ融けるには至っていないけれども、融ける直前まで温度が上がってきているところが多いと言うことができます。

 

甲斐沼: 2100年には温度が上がって融けるということでしょうか? 融けて、メタンが放出され、温暖化が加速されるという現象が起きると考えてよいのでしょうか?

榎本: 永久凍土ですが、すでに融け始めているところからはメタンガスが放出していて、クレーターが出来ています。クレーターは、メタンガスが発生して、それが爆発した跡と考えられています。

 

甲斐沼: 今でもすでに起こっているという事でしょうか?

榎本: 融けているところもありますし、まだ融けていないけれどもその危険性が迫ってきているところもあります。

 

甲斐沼: メタンはCO2に比べて温室効果が大きいので、(メタンはCO2に比べて約25倍の温室効果がある)、温暖化がさらに加速されるということでしょうか?

榎本: 凍土から出るメタンはCO2以上に温暖化を加速してしまうということで、メタン・ボム(methane bomb)、「メタン爆弾」と言われています。爆弾が永久凍土に埋まっているようなもので、これが爆発つまり大量に放出されて、連鎖でさらに放出し始めると、温暖化が急速に加速され、止めることができません。
最初に紹介したBox 1.1, Figure 1を使って説明します。この図に海洋熱波(marine heatwave)という用語や、永久凍土の融解(permafrost thaw)という用語が書かれています。

 

甲斐沼: ところで、ティッピングポイントについても教えて頂けませんか?

榎本: ティッピングポイントは、転換点や臨界点と呼ばれ、変化が進み、別の状態に移行してしまい元の状態に戻れなくなることを言います。北極海の海氷はティッピングポイントが近い、ティッピングポイントを超えたなどと言われています。後者では、もう戻れないところに来てしまった、という言い方をします。
ただ、本当に戻れないかというとそうでもないという予測も出ています。CO2を減らすことができたら、海氷はまた結氷して、凍り始めて昔の形に戻る、という計算結果も出ています。

 

甲斐沼: 今、気温が高くなっていますが、以前の気温に戻ったらということでしょうか?

榎本: まずそこを変えてあげないと元には戻れません。

 

甲斐沼: 1.5℃に気温上昇を抑えるといっても、1.5℃にずっと保っていたのでは、海氷は戻らないということでしょうか?

榎本: はい、今のコンディションのままではだめです。
ティッピングポイントについては、定義やリストがいろいろ出ています。例えば、ドイツの研究所の資料などにティッピングポイント・リストがあり、世界中で想定されるティッピングポイントがまとめられています。植物、陸上の乾燥、海氷の融解、積雪の減少など、いろいろなものがまとめられています。
報告書の第1章にティッピングポイントを説明している図があります。

 

ある範囲までは揺れている状態ですが、変化が進むと、この範囲から出て、戻ってこられなくなる状態に移ってしまいます。
次の図では、線形の外因に対して、赤いところはどんどん追随していく。戻ってこようと思えば戻ってこられます。それに対して、緑のところは、あるところを超えるまでは変化せず我慢していますが、急に爆発してしまう。ここを超えるかどうかがティッピングポイントだと書いてあります。ここを超える前であれば、まだ戻ってこられますが、これを超えてしまうと、戻ってこられません。ここを超えないように、超える前に、どうにか制御できれば、というのが勝負です。それが、もう遅いのではないかという危惧が出され、9月25日の海洋・雪氷圏特別報告書の記者発表の時のHans-Otto Pörtner博士(IPCC WGII共同議長)の発言にもありました。

 

甲斐沼: ティッピングポイントに関係して、海洋大循環が止まってしまうという話も聞きますが、どうなのでしょうか?

榎本: 海には、速く流れる表面の海流とは別に、3,000~4,000mより深い層の深層海流があります。グリーンランド北東沖では海氷の成長とともに、塩分の濃い、重く冷たい海氷が生まれます。この重い海水は深く沈んで南下し、南極付近の低層水と混じって地球規模で循環し、一周するのに1,500~2,000年かかると言われています。
この循環が止まってしまうと、海洋における赤道を超えた熱輸送が減るので、北半球は寒冷化し、南半球は温暖化すると言われています。一方で暑いだけの地域、もう一方で寒いだけの凍てつく地域ができます。この海洋大循環の一つで、大西洋と北極にまたがる大きな流れを大西洋子午面循環(Atlantic Meridional Overturning Circulation: AMOC)と言います。AMOCが弱くなったことが観測で示されています。弱さがすごく加速したかというとそこまで顕著ではないのですが、但し警戒が必要との記述です。この海洋大循環による熱の移動は、地球の気候をコントロールする重要な役割をもっています。
グリーンランド氷床では大量の融解水が海洋に出てきます。海洋表面に淡水が来ると、海洋の循環を止めてしまいます。大気の温度上昇と、陸上の氷の融解と、海の表面水温と、海洋循環が全部つながってきます。

 

甲斐沼: 日本への影響についてはどうでしょうか? 自分事でないと、なかなか意識が向かないということもあるかと思います。北極や南極は自分とは縁の遠い世界のように思ってしまいがちですが、日本ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

榎本: 一つ気になっているのは、この間のような台風がこれから頻繁に来るのかどうかです。気象災害が気になります。これまで経験したことのないような大雨や暴風が、頻繁に起こり得る事態が予想されます。
台風の数は減るかもしれないが、強度は大きくなるという研究結果があります。強力で、凶暴な台風が増えてくるという予想です。それが台風に関する懸案事項の一つです。
先日の台風が東京湾に最接近した時間帯は、たまたま干潮の時間帯であったため、沿岸地域では高潮の被害を免れたという話がありました。場合によってはもっと大きな被害が起こった可能性もありました。今後海面が上昇すると、影響が増えると予想されます。
また、北極の海氷が減ってきている結果、大気循環が変わって、日本の冬の寒波や大雪に影響してきています。日本は熱帯域と北極に挟まれた中緯度帯に位置しているため、北極の気候変動の影響が日本の天候に現れることがあります。

 

甲斐沼: それもよく言われることですが、「こんなに冬が寒いのだから、温暖化していないのではないか」という質問を受けます。昨年の冬は寒波が襲ってきたのですが、冬寒いという現象も温暖化の中で、説明できるのですね。

榎本: 全部がこのせいかというと、そうとは言えないケースもあるかと思いますが、北極海で海氷が融けるために、冬の温度が高くなってきている。さらにそれが大陸の気圧配置に影響して、日本に寒波をもたらす原因の一つになっていると思います。
今回のところでは、対流圏を通じた影響は、中程度の確信度(middle confidence)ということになっています。成層圏や、全球的な影響については、最先端の研究例がありますが、まだ証拠が多くありません。成層圏を通じての影響は、解明と、IPCCの高い信頼度に至るのにはもう少し時間が必要なようです。
北極海では、冬でも、雪ではなくて雨が降って、海も氷が張らなくなっています。「誰が氷を減らしたのか」ということで、温暖化が問題となってきます。

 

甲斐沼: 他にはどのような影響が懸念されるでしょうか?

榎本: ヒマラヤなどでは氷河の融ける水が生活と大きく関わっています。温暖化の影響がcascading impactとして、時間差を持って現れることが考えられています。例えば温暖化によって氷河融解が増加すると、まず低高度の氷河が融解し、河川水量が増えます。大量融解が進むと洪水の危険があります。さらに融解が進むと氷河分布は高所だけになり、またその面積も縮小してしまっています。この時期には融解水は少なくなり、山岳地域の融解水に生活水を依存していた地域では水不足などが起こります。また、この水不足に起因した生活基盤や産業の不安定化や争いが起こる可能性もあり、生活できないと移住を余儀なくされることもあり、社会も不安定になることが予想されます。
海はこれまで見えないところで頑張ってきました。しかし、海からの影響が見え始めています。今までに経験していない新しい状態に突入する可能性があり心配です。

 

甲斐沼: 自然科学からの興味深い示唆をたくさん頂きありがとうございました。「眠れる巨人」が起きてしまったら、もう元には戻れないという話は強烈でした。今日はどうもありがとうございました。

 

インタビュー実施日:2019年10月25日/場所:国立極地研究所

 

 

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