「Our Common Future Under Climate Change」におけるジョイントセッションの開催(フランス・パリ)
■タイトル:「変革に向けた解決 – 社会学習、科学、政策と対話」
■日時:7月9日 17:30 – 19:00
■会場:Université Pierre et Marie Curie (UPMC) Jussieu Room 105 (フランス・パリ)
LCS-RNet はフランス・パリで開催された「Our Common Future Under Climate Change」にて「変革に向けた解決 – 社会学習、科学、政策と対話」と題したジョイントセッションを開催した。
セッションは2部構成で行われた。各セッションの概要は以下の通りである。
冒頭、セッションチェアであるIGES西岡秀三研究顧問・LCS-RNet事務局長が、フレーミングプレゼンテーションを行った。
- LCS-RNetは、科学に基づく気候政策の必要性・緊急性の認識から、欧州・日本・アジア主要国の気候政策担当者と政策に深く関与する科学者の対話が続けられてきた。
- 気候変化への対応は大「転換」を現代社会に要求するが、それはほかの世界的課題、エネルギー、経済危機、都市化、人口の高齢化、資源枯渇、途上国の発展との相互関係の中で実現の道を探るべきである。
次に、ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所のStefan Lechtenböhmer博士、リオデジャネイロ連邦大学のEmilio Lèbre La Rovere教授、中国国家発展改革委員会エネルギー研究所Kejun Jiang部長(博士)が、LCS-RNetの今までの議論を紹介した。
- 転換への対処としてはいまだ共有できる道筋は見つかっておらず、数多くのAction research を続けることから得られる知見を体系化するには時間がかかる。
- エネルギーは各国の安全保障問題との関連から共通の課題となりにくく、各国の置かれた状況のもとでの決定を尊重するしかない。
- 気候安定化のための投資は、決して大きなものではないが、今の経済の閉塞感を取り除くテコにする方策につながる可能性を持つ。
- 今後、ほとんどの人口が都市に集まるため、住民の厚生安全を確保する都市インフラ設計と運営を気候変動抑止・適応策と連動して進めることが各都市マネージャ-に要求される。
- エネルギーとGHG削減のためには需給両端面だけでなく、その間をつなぐValue chain/ supply chain への切り込みが必要で、それはまた資源効率向上とのco-benefitを生む、
- 今後の削減のカギを握る途上国の発展形態低炭素型に導くには途上国がownershipをもって長期政策を描く必要があり、自国の研究者コミュニティの育成が重要である、等
これを受けて、IGES甲斐沼美紀子研究顧問は次のように述べた。
- 今後2020年に向けては、先進・途上各国での実効ある国内政策立案とその実施体制構築が緊急の課題となる。LCS-RNetがやってきた、低炭素社会構築という、横断的・広い視点からの研究者コミュニティと政策担当者間の、交渉から距離を置いた openな対話は、各国共通の課題の発見、互いの経験からくるgood Practiceの交換 政策担当者から研究界への課題提示、等を通じて各国政策を一層効果的に進める原動力となる。
- 今、温暖化イコール気候資源の劣化という課題で世界が自然資源の壁を実感し、科学が示した事実を現実の世界に反映させる道筋を模索しているところである。こうしたLCS-RNetの5年の経験を踏まえ、気候安定化をどう持続可能な発展への転換に向けてのフロントランナーとするか、欧州・日本・アジア間だけでなく、世界各地域であるいは世界規模で、対話のおおきな仕組みを作り上げていくことを提案してはどうか。
このセッションの総括にあたり、IGES西岡秀三研究顧問・LCS-RNet事務局長が、「我々の5年の論議が科学と政策相互の理解を深め、各国政策をより効果的に支援してきたという経験をふまえ、気候変動に関して科学コミュニティと政策担当者間の恒常的かつ世界的な対話の仕組みを作ることを提案したい」と述べた。
プログラムは下記のリンクからダウンロードできます。(英語のみ)
20150703_Flyer_Transformative solutions
「Our Common Future Under Climate Change」の詳細は下記のURLからご参照いただけます。(英語のみ)
http://www.commonfuture-paris2015.org/
http://cfcc.event.y-congress.com/ScientificProcess/Schedule/index.html?setLng=en#